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皮膚形成について思うこと
ブログの更新もすこしずつ間隔が開いてしまってますが、ご容赦下さい。
さて、上記写真は、見るからにかわいそうな傷口になってしまった猫ちゃんの様子です。
畜主の話を聞くと、放置していたわけではなく、何度も手術をおこなってきた様子で、病院にもかかっていたようです。私の病院で5件目というから、びっくりです。
皮膚治療の分野でには最近まで、ガーゼを当てたり、消毒をしたりすることが良いように思われてきましたが、常識的に思われていたことが、実は間違っていることが分かってきています。
湿潤治療という考え方です。傷の患部には治そうとする細胞が多数集まってくるため、一見化膿し始めたように思われる時期があります。その時期に、ガーゼで拭ったり、消毒を必要以上におこなうと、直る機会を逸してしまうようです。カサブタというと、治る一番最良の状態と思われる方も多いかもしれませんが、皮膚細胞が乾燥してミイラ状態になって、皮膚治癒に失敗した状態なんです。
湿潤治療に関する文献などは、他の先生方にお譲りするとして、獣医師間で湿潤治療に前向きな病院はまだ少ないのが現状です。まだ、試行錯誤の状況であることは間違いありません。
湿潤治療に加え、皮膚形成分野では、皮膚移植が知られています。
皮膚移植の考え方は、獣医師にも伝授されていますが、皮膚活着までには2ヶ月程度の長期入院が必要なのと、動物は自傷行為も多く、手間暇が大変です。金銭的にもかなり負担が多くなります。
今回の症例は、初期治療に失敗してしまったあげくに、手術行為を繰り返すことで、かえって傷口を広げる結果になってしまった症例です。
獣医師はどの病院でも同じ技量ということで、獣医師法で宣伝行為は禁止されています。
しかし、技量の狭い獣医師にかかってしまうと、治療指針で行き詰まってしまうことも多々あります。また、金銭的な問題で、治療が続けられないなどの理由がある場合も、患者難民になってしまう可能性が多くあります。
初期段階で治療指針を決め、その期間が過ぎたときに、再度、畜主とインフォームド・コンセントをしていれば、ここまで大きな問題にもならずに、また、治療難民にならずに済んだものと思います。
2014年5月27日火曜日